大人のプレミアムゼミ:歴史を学び、未来につなぐ講座(参加費一部寄付型講座) 「研究者とたどる 国立天文台三鷹キャンパスの100年」を開催しました!
5月17日(土)、国立天文台三鷹キャンパスにて「研究者とたどる 国立天文台三鷹キャンパスの100年」を実施し、10代~80代までの幅広い年代から計40名の方々にご参加いただきました。
本プログラムは、国立天文台の縣秀彦先生に企画から当日のレクチャーまで、全面的にご協力いただきました。
当日は残念ながら視界を遮られてしまうほどの大雨。特に集合時間付近は関東南部で1時間に30ミリ前後の激しい雨となりました。加えて渋滞の影響もありましたが、参加者のみなさまは無事に現地に集合し、予定通り縣先生の講義が始まりました。
2024年、国立天文台の前身である東京天文台(当時は東京帝国大学東京天文台)は、都心の麻布から三鷹へと移転して100年を迎えました。講義ではこの歴史をたどり、長きにわたる研究者や関係者のみなさまの思い、取り組みを知ることができました。さらに、21世紀天文学の課題や各望遠鏡の特色にも触れていただきました。
講義の後、雨の降り方が落ち着いてきたタイミングで、講義室を出て構内を見学しました。参加者のみなさまは、1人1台イヤホンガイドを付け、縣先生の解説を聞きながら、緑豊かで広大なキャンパスを歩きました。天候の関係で、当初の予定からルートを変更しましたが、国登録有形文化財にも指定されている施設を中心に回りました。参加者のみなさまは、写真撮影をしたり、熱心に解説を読んだり、先生に質問したりと、積極的に見学されていました。
キャンパス内「天文台歴史館(大赤道儀室)」の内部。構内で最も大きなドームであり、造船技術を利用して建てられたそうです。写真に写っているのは日本最大の屈折望遠鏡(口径65センチメートル)。主に星の位置測定を行ってきましたが、1998年3月に研究観測から引退しました。
ゴーチェ子午環室の個性的な外観。内部には、天体の精密位置観測に使われる装置があります。長い間、眼視による観測を行っていましたが、のちにCCDカメラを使った精密な観測も行われるようになりました。
キャンパス内での一コマ。縣先生の解説を熱心に聞く参加者のみなさま。緑豊かで自然の多い様子が感じられると思います。
本来であれば、普段一般公開していない「太陽フレア望遠鏡」を見学する予定でしたが、悪天候のため急遽、米谷夏樹先生(国立天文台太陽観測科学プロジェクト特任専門員)にレクチャーをしていただきました。
太陽フレア望遠鏡は、三鷹太陽地上観測の主力装置で、3本の望遠鏡によって太陽全面にわたる観測を行っています。米谷先生には、迫力ある画像とともに観測の面白さを伝えていただきました。
熱のこもった米谷先生のレクチャー。当日見られなかった太陽フレア望遠鏡を「ぜひ改めて見学できる機会をつくりたい!」というお言葉もいただきました。
続けて、「アストロノマー・トーク」として、国立天文台教授の青木和光先生にお話しいただきました。
青木先生は国立天文台TMT(Thirty Meter Telescope)プロジェクトの副プロジェクト長を務めておられます。口径30mというすばる望遠鏡の10倍以上の大きさの主鏡を持つ史上最大の地上望遠鏡で、建設地はハワイ島マウナケア。日本・米国・カナダ・インドの国際協力によって建設を進めています。このTMTプロジェクトや、どのように星を観測しているか、そして研究者としての生活など、参加者の質問にお答えいただきながら、わかりやすく解説していただきました。
青木先生のアストロノマー・トーク。次世代の天文学を支える挑戦と、そこからどのような謎が明かされるのかを知り、天文学の未来に想いを馳せる時間となりました。
4D2U(フォー・ディー・トゥー・ユー Four-Dimensional Digital Universe 4次元デジタル宇宙)とは、空間3次元と時間1次元を合わせた(4次元)宇宙を、デジタルデータで可視化したものです。4D2Uドームシアターでは、天文情報センター普及室 広報普及員の遠藤勇夫先生によるナビゲーションで、直径10mのドームスクリーンいっぱいに広がる迫力の映像を体験しました。地球を飛び出し、太陽系の惑星の合間を抜け、宇宙の果てまで到達して最後は三鷹市まで戻ってくる、壮大な映像体験でした。
※シアター内は撮影ができないため、4D2Uドームシアターの詳細は、国立天文台のウェブサイトをご参照ください。
目の前で繰り広げられる立体映像は、最新の観測データと研究に基づいて宇宙の構造と進化を再現したものです。その壮大な宇宙のスケールと比べて、人類の小ささを実感するとともに、まだ解明されていない宇宙の研究にロマンと感動をおぼえる時間となりました。
国立天文台は、日本の天文学の発展を担う研究機関として、高度な研究・教育活動を積極的に推進している一方、近年の運営費交付金の予算削減により、財政的な厳しさに直面しています。当社は研究・教育活動を支援する企業として、国立天文台の活動に賛同し、科学研究と教育普及の持続的発展に寄与するため、今回の参加費の一部を国立天文台に寄付いたしました。この寄付が、次世代の天文学者の育成や、未来の科学の発展の一助となることを心より願っております。
プログラム終了後、アンケートでご回答いただいた内容の一部をご紹介します。
●縣先生のお話が非常に楽しく、もっと様々なことを伺いたいと思いました。4D2Uドームシアター体験も素晴らしかったです。見終わった瞬間にもう一度見たい!と子どものように感じてしまいました。
●年を取ると仕事に関係の無いインプットは減りますが、やはり星の話を聞くと愉しく想像が広がります。小さい時に興味があった事は年月経ても変わらず興味は失せないものですね。今後も固まっていく大人をほぐす刺激を是非お願い致します。
●また天気の良いときに三鷹の天文台に行ってみたいと思います。昨年のツアーも含めて、現役の研究者の方からレクチャーを受けられ、貴重な施設の見学もできるなど、内容は満足度の高いものでした。
●研究者の方々の生の声が聞けて良かったです。直接案内してくださった縣先生の親しみやすさ、わかりやすさに感謝!みなさんの話、わくわくして聞いていました。瞳が輝いていて、専門性のある方々からお話を直接伺えて幸せです。
今回ご参加いただいたみなさま、改めてありがとうございました。
お申し込みの際に、参加理由として「国立天文台への応援(参加費の一部寄付)」を挙げてくださった方が大変多く、みなさまからの温かいお気持ちは、企画側として大きな励みとなりました。
また、縣秀彦先生を始めとする研究者のみなさま、そして国立天文台のご協力で、通常では体験することが難しい特別なプログラムを企画・実施できることとなり、悪天候にも関わらず充実した学びの時間を提供することができました。心より御礼申し上げます。
プログラムを通じて、先生方も参加者のみなさまも、わくわくと目を輝かせて学びを共有されている姿が大変印象的でした。
当社は、これからも「大人だからこそ楽しめる学び」をテーマに、魅力的な企画を提供してまいります。
関連リンク
国立天文台(NAOJ)
国立天文台は、日本の天文学研究の拠点となる研究機関です。大規模な天文観測施設を全国の研究者に提供するとともに、天文学研究と天文観測機器の開発を広く推進しています。
国立天文台(NAOJ)
